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書評 - 斎藤貴男『消費税のカラクリ』(講談社現代新書、2010年)
斎藤貴男『消費税のカラクリ』(講談社現代新書、2010年) わきたも、本著の考証にはいささか拙速に過ぎる部分があると感じますし、ネット上でも「批判の少なからぬ部分が、消費税の本質に対するものではない」「中小・零細企業の不利益ばかりを、ことさらに強調している」「一部、明らかな法令の理解不足がある」などの批判も散見されます。
 しかし、消費税について、以下の点を明らかにしたことだけでも本著は評価されて良いと思いますし、事実、賞賛する声のほうが圧倒的です。

 
法の定めによれば、納税義務者は商品・サービスの購入者ではなく販売者である。 納税義務者である販売者は納める消費税を購入者に価格転嫁「できる」に過ぎず、また購入者がそれに応ずることを、法は義務化していない
 これでは「消費」税ではありません。 販売した者がその販売額の定率を納める税なのであれば「売上」税であり、まるで外形標準課税です。
 外形標準課税は、企業が受ける地方行政サービスの受益者負担として想定されています。 国税部分が8割を占める消費税が、外形標準で課税される理不尽。
 消費税がその名称どおり「消費」税として機能するためには、販売者から購入者へ適切に価格転嫁されることが必要となります。 しかし ・・・
上記のとおり価格転嫁は法で義務化されていないので、実際に転嫁されるかされないかは転嫁「できる」か「できない」かの問題となり、販売者と購入者の力関係に依存することになる。 購入者の力が強い商取引では、実態として消費税を購入者に転嫁することができない
 大企業とそこに部材を納入する中小企業の関係を想定してみてください。 見積書に「消費税(5%):○○○円」としっかり載っていたとしても、そのぶん出精値引させられるのであれば、消費税を適切に購入者に価格転嫁したことにはならないでしょう。

この時点で、「消費税は販売者が一時手元に置く購入者からの『預り金』である」という一般的な理解は、全くの誤りとなる
 例え見積書や請求書の内訳に消費税が記載されていたとしても、それが実際に購入者から支払われたとは限りません。 また、購入者が「消費税を支払った」と確信していても、法律上は「支払われたのは、販売者/購入者間の力関係で決定された売買価格の総額」であり、「そのうちの 5/105 は消費税である」という解釈は、法には存在しません。 「ひょっとしたら、その額のなかにいくらか消費税転嫁分が含まれているかも知れない」という解釈です。
 繰り返しますが、消費税の納税義務は販売者に負わされているのであり、購入者ではありません。 従ってその納付を怠るのは単に税滞納であって、購入者からの預かり金を「着服」しているかのような表現は誤りです。
 にも拘らず、かつて徴税当局が徴収率を向上させるために、「消費税を滞納する販売者は『購入者が預けた消費税を不当に蓄財する不心得者』である」かのような世論操作広告を繰り返していたことも、本著では述べられています。

「購入者から消費税を受け取っていない」にも拘らず「販売者には納税義務がある」ことにより「消費税を納めようにも納められない」事態が多発する。 そしてこのことが、消費税を滞納率 No.1 の税としている
 広く浅く課税できて、しかも「確実に」徴税できる税の筆頭格であると思われている消費税が、実は直接税・間接税の区別なく他のどの税よりも滞納率の高い税であるという事実。 皆さんはご存知でしたか?

企業が自社の製品を製造するために他の企業から原材料や部品などを仕入れる場合、これらの仕入れ時に消費税が課税されていれば、自社製品販売時にはそれらを含む全体にさらに消費税が課税されることで二重課税となってしまう。 「仕入税額控除」は、仕入れ時に課税された消費税分を差し引いて消費税納付額を算出し、二重課税を回避するための措置
しかし前述したとおり、販売者と購入者の力関係によっては実質的な非課税仕入れがあり得、この場合にも「仕入税額控除」が適用できてしまうことは、甚だ妥当性・公平性を欠く
 日本経団連など経営者団体は、国家財政再建のための税制改革論議においては必ず、所得税増税よりは消費税率引き上げを主張しますが、これは法人所得税(法人税)引き上げを避けたいという理由のみならず、仕入税額控除による「恩恵」を期待しているのだ、という穿った見方もできます。


 わきたは以前、「震災復興のためには、消費税率引き上げを償還計画に組み入れたうえでの、国債発行が有効」と提言しました。 消費税の本質が真に「消費」税であることを前提とすれば、この論旨にいささかの揺らぎもありません。 しかし本著を読んで、消費税に震災復興財源を求めるのであれば、消費税制の抜本的な改革は必須である、と考えるようになりました。

 消費税を論ずるうえで、必読の1冊。
| http://blog.wakita.cc/index.php?e=59 |
| 書評 | 09:10 PM | comments (3) | trackback (0) |
私は北欧視察をする度に価値観の違いを感じ、北欧の価値観に共感を覚えます。その基本となるのは北欧型社会主義における税制のあり方にあります。と言いましても自分ではよく理解しておりません。今後の課題です。その上で我が国の消費税を理解するにもこちらの本は必読ですね・・・。
がんばって読んでみます。ありがとうございます!
| 久瀬 | EMAIL | URL | 2011/08/31 03:05 PM | PaYk6B1o |

ブログ閲覧、ありがとう。
税制の基本は、課税の公平性と、税収の実効性だと思っています。
公平性だけを期すのなら、所得税など累進性の強い税の最高税率を上げれば済みますが、それでは有効な税収が見込めない。 逆に所得税の最低税率引き上げや消費税など逆進性を強める税制のみでは、税収は上がるでしょうが納税者(≒有権者)の理解が得られない。
そこで、これら両面のベストミックスが求められる訳です。
記事本文で書いたとおり、消費税は、今のままの制度では上記のどちらの面からも不備であり、非常に問題ある税制だと思います。
| わきた | EMAIL | URL | 2011/09/04 08:25 AM | IjPo0F8c |

現行消費税の持つ危うさが良くわかりました。確かに、事業者間の取引では、力のある者が、弱い者に、結果的に消費税の付け替えを当たり前に行っているのが現実でしょう。このからくりは、零細事業者は皆わかっていても、真っ向から抵抗できないのも事実です。明日の仕事がもらえなくなるかも知れないから。ぜひ、ジャーナリズムの力で、この矛盾を明らかにして下さい。お願い致します。
| 匿名 | EMAIL | URL | 2012/01/26 08:54 AM | y75hjgsk |











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